こんにちは。world is aozoraです。
突然ですが、皆さんは「イワンのばか」というキャラクターを知っていますか?
なかなか攻めたネーミングですが、実はこの人、ロシアの民話にたびたび登場する、定番キャラらしいです。
本日は、そんな「イワンのばか」が登場する数ある作品のうち、トルストイという人が書いた小説を紹介していきます。
この作品は、イワンが出てくる物語の中でも特に有名で、日本では小説に加え、絵本も発売されているそうです。
そタイトルはズバリ、『イワンのばか』。
主人公の名前を、そのままタイトルにしています。
ストレートで潔いですね。
一体、どんな物語なのか、さっそく見ていきましょう!
『イワンのばか』の基本情報
あらすじ
『イワンのばか』はこんな人におすすめ
童話風のストーリーが好きな方
痛快なストーリーが読みたい方
「難しい表現や単語が出てくる小説は苦手・・・」という方
感想(ネタバレ注意!)
推しポイント1:身につけた力は裏切らない!
推しポイントの一つ目は、作中で繰り返し出てきたメッセージである「手を動かして働くことの大切さ」にまつわるものです。
まず長男のシモンは、大きな領地を持てるほどに、軍事的な権力を持っています。さらに次男のタラスは商人としてそこそこ成功し、さらには金持ちの商人と結婚することで、巨万の富を得ています。
この二人、物語の中盤ではそれぞれが一国の王様になるほどの、大成功を収めています。
しかしその成功の元になったのは、イワンが小悪魔たちから手に入れた「兵隊を作る魔法」や「お金を作る魔法」。
シモンもタラスも魔法の力で、自分の実力に見合っていない地位へと、一気に上り詰めてしまいました。
でも、いくら大きな権力や富を手に入れたって、それを維持できるだけの優れた能力がなければ、やがては没落するものです。二人の兄たちも例にもれず、老悪魔にそそのかされ、またたく間にその地位を失ってしまいました。
一方、イワンは富や名声には興味がなく、ただひたすら自分自身や家族を養うために、汗水垂らして働きます。
その過程で、彼が「自らの手を動かして」身につけた農業の技能や根性は、たとえ悪魔の力を持ってしても、そう簡単に奪い去れるものではありません。
おかげでイワンは、兄たちが悪魔の計略に落ちて無一文になるのを横目に、何度悪魔にそそのかされても純朴に農業を続け、自分の努力に見合った穏やかな生活を送ります。
誰しも、魔法で成り上がって楽勝人生を送りたいと夢見ることもあるでしょう。
しかし結局、最後にものをいうのは「どれだけ自分の体を使って、能動的に動いたか」や「これまでどれだけ、目の前の物事に真面目に取り組んできたか」ということなのだろうな、物語を通して改めて感じました。
やはり努力は裏切らない!とポジティブな気持ちになれるストーリーでした。
・・・・・・と、私はこのように解釈したわけですが、こちらの作品は「社会主義の賛美を賛美している」と捉えられることもあるようです。
確かに言われてみれば、物語の終盤に出てくるイワンの国では、資本主義の気配は鳴りをひそめ、なんなら通貨すら存在せず、みんな農業をしながら助け合って暮らしています。共産主義が目指していた理想世界に、近いのかもしれませんね。
そう考えると、シモンの国は軍国主義、タラスの国は資本主義を揶揄したもののようにも、見えてくるような気がします。
色々な考察があって奥深いですね。
推しポイント2:年寄り悪魔の策略
最初の三人の小悪魔と比べて、年寄り悪魔は、人間が思わず引っかかってしまう巧妙な罠を仕掛けてきます。
例えば、軍事的な権力を手に入れてイケイケ状態のシモンには、「もっと軍隊を拡充すれば、この国はもっと強くなりますよ」と甘い誘惑を吹き込みました。
この軍事拡充作戦、何が怖いって、最初のうちはいい感じに成功してしまうんですよね。
だからこそシモンは調子に乗って、勝てない相手に戦争を仕掛けます。その結果、彼の国は壊滅しました。
一方、大金持ちになってウハウハなタラスの元に、老悪魔は金払いの良い商人として現れて、周囲の民衆に金銭をばら撒きます。これによって、タラスの国の税収は大幅にアップ!
タラス王、さらにウハウハです。
これに気を良くした彼は、ついうっかり新しい御殿の建設なんて始めちゃいます。
しかしその頃には、人民はみんな老悪魔の方に付き従ってしまい、宮殿の建設は一向に進みません。最後には建設プロジェクトは大赤字を出し、タラスは収入も財産も全て失います。
この二つの罠に共通しているのは、「つい調子に乗ったところを叩き潰す」というポイント。
人間みな、勢いに乗っているときほど欲が出てしまうものです。あとちょっと、あとちょっとだけと背伸びをし続け、気づけば引き返すことのできないどん詰まりまで追い込まれてしまう・・・・・・。
老悪魔は、この心理にうまくつけ込みました。
もしこの悪魔が実在したら、私もついうっかり計略に乗せられてしまうかも。
恐ろしや。
しかし、こういう人類共通の弱みみたいなところを再認識できるというのも、小説を読む楽しみの一つですよね。
作家の皆さんにはこれからも、様々な人間心理を文章に起こしていってほしいです (*´꒳`*)
まとめ
おまけ:『イワンのばか』が好きな人にオススメの作品
オススメ1:『賢者の贈り物』| オー・ヘンリー
オススメ2:『うまい商売』| ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム & ヴィルヘルム・カール・グリム