青空文庫 開拓室

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梶井基次郎ってどんな人? 作風紹介 & オススメ作品ベスト5!

珠玉の名作、いざ選出。梶井基次郎・ベスト5

 

こんにちは、world is aozoraです。

本日は、私の大好きな作家・梶井基次郎について紹介したいと思います。

また、今週のお題「私の〇〇ランキング」に乗っかって、私的・梶井作品ランキングベスト5も発表しちゃいます!

 

梶井基次郎のプロフィール

プロフィール画像

Wikipediaより

名前
梶井 基次郎(かじい もとじろう)


出身
大阪府 大阪市


誕生日
1901年2月17日


没年
1932年3月24日(31歳没)


ジャンル
私小説・心境小説・散文詩的短編

作品の特徴をわかりやすく解説

私が梶井作品を読んでいて感じるのは、以下のようなポイントです。

小さな小さな感情の揺らぎも、徹底的に分析している

  • 風にそよぐ植物を眺めていると、自分まで清々しい気持ちになってくる、とか。
  • いつもの散歩道にかけいが置いてあって、それになぜか心を惹かれる、とか。

 

日常生活で何気なく感じるけれど、すぐに忘れてしまう(or あまり深く考えたことがない)感覚って、ありますよね。

 

梶井氏はそういった繊細な感覚を、人一倍敏感に感じ取り、どうしてそう感じるのかを分析し、丁寧に作品に落とし込んでいます。

例えば、風にそよぐ植物について、『ある心の風景』という作品の主人公がこう分析しています。

ること、それはもうなにか・・・なのだ。自分の魂の一部分あるいは全部がそれに乗り移ることなのだ

また筧についての感情も、彼は小説を丸ごと一つ使って、自身の感情を徹底的に分析しています(『筧の話』

 

哲学チックな雰囲気の小説が好きな人には、是非とも読んでいただきたいです。

病弱な主人公が多い

梶井基次郎自身、肺結核に長年苦しめられた経験から、作品には病弱な主人公が多く登場します。

いや、「多く」というより、ほぼ全ての主人公が病弱、といった方が正しいでしょうか。

 

主人公たちは読者に向けて、病気に伏せる生活がどんなものか、そのときの気持ちはどんなものか、非常に詳細に語ってくれます。

普段、私たちが体験できないような生活が手に取るように分かるのは面白くもあり、一方、文章に梶井氏の長い闘病生活そのものが色濃く反映されていることを考えると、切ない気持ちにもなる、唯一無二の作風だと思います。

小さな幸せを見つける天才

病弱ゆえに、限られた時間の中で生きる梶井基次郎は、日常の些細な出来事の中に小さな幸せを見つける天才でした。

作品には、そんな彼の感性が随所に表れています。 例えば、

そういった情景に出会うたび、主人公が感じている幸せが、読者までビンビン伝わってくるのです。

読むだけで自然とハッピーな気持ちになれる、素敵な文章だと思いました。

 

オススメ作品ベスト5

ここからは、私が皆さんにぜひ読んでほしいと強くオススメする作品を、ランキング形式でご紹介します。

 第1位 檸檬

堂々の第1位は、『檸檬』です。

やはり高校の教科書に載っているだけのことはあり、他の梶井作品と比べてみても、キラリと光るものがありました。

 

この作品の大きな特徴は、梶井氏の『幸せを見つける天才』っぷりが存分に作品に活かされている点です。

主人公は(例にもれず)重い病気を患っているのですが、それでもたった一個の檸檬から最大限に幸せを引き出して、読者に伝えてくれます。

 

多くの人が最初に出会う梶井作品の原点にして、頂点。

未読の方も、既読の方も、ぜひ世界観に浸ってみてください。

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詳しいあらすじや感想、考察はコチラをチェック!

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 第2位 城のある町にて

第2位は『城のある町にて』。

こちらも『檸檬』と同じく、梶井作品の中でも知名度の高い1作です。

 

この作品の最大のポイントは、風景描写がとにかく丁寧で美しいこと。

 

第1章はほぼ丸ごと、町の風景描写に使われていますし、その後の章でも、夜空を彩る花火や、井戸から汲みたての透き通った水など、日常に溢れる美しいものが何度も登場します。

 

絵画のような世界観に、あなたも是非浸ってみては・・・?

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 第3位 冬の日

第3位は『冬の日』です。

主人公は(またしても)病弱。しかも今度はその弟や妹も、すでに病で他界しています。

 

病状の悪化と共に、生きる楽しみや希望が徐々に失われる中、「何にもさえぎられずに、大きな夕日がみたい」と、力を振り絞って町に出る主人公。果たして美しい夕日に巡り合うことはできるのか。

 

檸檬』のときと違って、こちらの主人公はネガティブな考え方が強めですが、その分だけ自身の感情の揺らぎに敏感に反応しているように思いました。

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 第4位 桜の樹の下には

第4位は『桜の樹の下には』です。作品自体の知名度は『檸檬』に負け気味ですが、以下の冒頭1文だけなら知っている!という人は、いるのではないでしょうか。

桜の樹の下には屍体したいが埋まっている!

ミステリー小説などでも、時々見られるこの描写ですが、実は桜の樹の下には』が元ネタだと言われています。

 

なぜ桜は美しいのか? なぜ生きるというのは美しいのか?

哲学的な疑問に対する、1つの答えを導き出した秀作です。

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 第5位 冬の蝿

第5位は『冬の蝿』。

部屋でハエを何匹も飼っている男のお話です。さらにエキセントリックなことに、彼は毎日、太陽を憎みながら日光浴を欠かさず行っています。

 

本文中で明言されているわけではありませんが、回想シーンなどから察するに『冬の日』の主人公の後日譚のような位置付けとなっているようです。

『冬の日』を気に入ってくださった方は、是非こちらも読んでみてください。

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まとめ

本日は、梶井基次郎の作風とオススメ作品ベスト5をご紹介しました。

彼の作品に少しでも興味を持ってくださる方がいらっしゃれば、幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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