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魯迅ってどんな人? 作風紹介 & オススメ作品ベスト5!

こんにちは、world is aozoraです。

突然ですがみなさん、魯迅という名前を聞いて、何を思い浮かべますか?

 

私は真っ先に、『故郷』という作品を思い浮かべました。教科書に載っていたあの作品です。「同じ作品を思い浮かべた」という方も、多いと思います。

 

というか、むしろ「『故郷』以外知らん」と思っている方も、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか・・・?

 

しか〜し!

 

魯迅の名作は『故郷』だけではありません!

それ以外にも様々な名作を、後世の我々に残してくれています。

それらを知らずに過ごしているのは、勿体無い!

 

というわけで、本日は魯迅作品を布教するため、彼の作品の特徴をサラッとまとめてみました。

記事の最後には、私の個人的見解による魯迅作品おすすめTop5」も作成してみたので、ぜひ見ていってください!

魯迅のプロフィール

プロフィール画像

Wikipediaより

名前
魯迅(日本語読み:ろじん / 中国語読み:ルー・シュン)


出身
中国 清浙江省


誕生日
1881年9月25日


没年
1936年10月19日(55歳没)


作品の傾向

  • 短編・中編が多いので短時間でサクッと読める
  • ただし、元が中国語な影響もあり、難しい漢字・言い回しは多め

その他の特記事項

  • 裕福な家庭に生まれ、幼少期を過ごしたが、その後没落。これをきっかけに魯迅一家は、世間の人々から冷遇されるようになる。
  • 仙台医学専門学校(現・東北大学医学部)に留学経験あり。その際、夏目漱石森鷗外などの日本文学作品に触れ、影響を受けたとされる。
  • 晩年は文学革命に貢献。当時、文学作品は上流階級しか学べなかった文語文で記述されていたが、魯迅らは口語文による作品を制作。言文一致を目指した。

【作風解説】魯迅作品の魅力をひも解く

さまざまな作品を後世に残してくれた魯迅

彼の作品を読み解いていく中で、共通して感じられる特徴がいくつかありました。今回は、その中でも特に印象的な3つの特徴を深掘りしてみましょう。

激動の革命期を体験したからこその、社会への鋭い洞察

魯迅が活躍した時代は、辛亥革命を経て、中国社会が大きな変貌を遂げようとしていた激動の時代でした。そんな時代を肌で感じて生き抜いてきた彼の作品には、当時の社会の矛盾や歪みへの鋭い洞察が、色濃く反映されています。

 

例えば『』という作品では、革命派の一味として投獄された青年と、「普通」に生きる市井の人々が対比されています。

自由を信じ、命をかけて己の信念を貫こうとする青年。そんな彼を、人々は狂人扱いすします。しかし「普通」の人々の生活はというと、病気の子供すら治すことができず、死なせてしまうような苦しいものなのです。

民衆の自由を求めた青年は、果たして本当に「悪」だったのでしょうか?

 

また『阿Q正伝』という作品では、逆に貧しい男・阿Qが革命を唱えた顛末を描いています。革命軍が次々と上流階級に攻撃を仕掛ける中、阿Qもそれに加わろうとしますが・・・。

貧しい人々を救うための「革命」が、阿Qを思わぬ方向に追い詰めていきます。

詳しい内容は、こちらの記事をご参照ください。

explorer-of-the-aozora.hatenablog.com

 

これらの作品は、魯迅自身が社会の変動を観察し続けてきたからこそ、現代の読者をも唸らせるほどの深い洞察を残せたことを物語っています。

現代人も違和感なく頷ける、普遍的な真理を突いた描写

魯迅の作品には、時代や文化を超えて共感できる普遍的なテーマが数多く登場します。

例えば、『兎と猫』では、庭で飼っているうさぎたちを通して、生命の卑小さと儚さを取り上げています。

また『幸福な家庭』では、「誰もが憧れる理想の幸せとは、どんなものなのか?」「そもそもそんなものは、存在するのか?」といった、現代でも誰もが一度は抱くであろう感情や悩みが描かれています。

魯迅の作品を読むと、人間の本質とは何か、幸福とは何か、といった根源的な問いを投げかけられ、思わず考え込んでしまうことが多くありました。

「嫌な奴」を描くのが上手い

最後の特徴をこんな感じで締めるのは、どうかなと思うのですが・・・魯迅先生はとにかく「嫌な奴」の描写が上手い気がします笑

 

例えば、みなさん教科書でお馴染みの『故郷』には、コンパスのような足をしたヤンおばさんが出てきますよね。主人公の父親が亡くなり、遺品整理をしているところに、何かと理由をつけてやってきては、良さげな遺品を盗んでいくアイツです。

こう書くと「現実にそんな奴おらんやろ」って感じなんですが、それをうまく書いているのが魯迅のすごいところ。

彼の作品には数々の嫌な奴が出てきますが、そのどれもが「現実にもいそう」と思わせてくるリアルさで描かれています。

 

彼自身が一家の没落によって、人から冷たい扱いをたくさん受けた影響なんでしょうかね?

そう思うと、ちょっと切ない気もします。

オススメ作品ベスト5

ここからは、私が個人的にぜひ読んでほしいと強くオススメする作品を、ランキング形式でご紹介します。

 第1位 阿Q正伝

堂々の第1位は、『阿Q正伝』です。

 

スーパーポジティブなダメ男・阿Qのお話。衣食住もままならない極貧生活を送る彼は、学もないため、自分が社会の下層階級にいることすら理解できていません。

そんな中、ある事件をきっかけに、彼はわずかばかりの仕事すらも、完全に失ってしまいます。

阿Q、一体どうする?!

 

革命への風刺というシリアスな内容を、非常にコミカルな文体で描いていたのが印象的でした。エンディングの衝撃度も、魯迅作品中トップレベルです!

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詳しいあらすじや感想、考察はコチラをチェック!

explorer-of-the-aozora.hatenablog.com

 

 第2位 狂人日記

第2位は『狂人日記』。

こちらは文学革命の流れで有名となった作品です。

 

「村の人々が自分を食べようとしている」

ある青年の日記には、彼の恐怖の日々が書き連ねられていました。

青年の兄によると、日記を綴っていた当時、彼は精神病にかかっていたらしいのですが・・・?

 

革命とか中国文化とか、詳しい背景知識が一切なくても楽しめる短編です。ぜひ読んでみてください。

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詳しいあらすじと感想はこちらをチェック↓

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 第3位 故郷

第3位は『故郷』です。

中三の教科書に載っている作品ですね。懐かしい。私も読んだ覚えがあります。

 

久しぶりに帰ってきた故郷。美しい思い出がたくさん眠るその地で、主人公が目にしたのは・・・?

 

大人になってから読み返してみると、中学の時よりも余計に心に染みる気がしました。

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 第4位 些細な事件

第4位は『些細な事件』です。上位3作に比べて知名度は低めですが、読んでみるとめっちゃいい話でした。

 

主人公は激動の時代を生き抜くうちに、いつしか冷たく、利己的な性格へと変わってしまいました。しかし、ある人力車の車夫との出会いをきっかけに、彼は失ったものを取り戻し始めます。

 

人間の高潔さに触れられる、隠れた名作です!

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詳しい感想はコチラをチェック!

explorer-of-the-aozora.hatenablog.com

 

 第5位 孔乙己 

第5位は『孔乙己』。孔乙己とは主人公の名前で、「こういっき」と読むそうです。

 

科挙試験に落ちた孔乙己が、没落してゆく様を描いたお話。

生活は立ち行かず、いつまでもエリート意識は抜けないが、側から見れば愉快な面もあり憎めない彼。しかしそんな生活も長くは続かず・・・

 

切ないラストは必見です!

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まとめ

本日は、魯迅の作風とオススメ作品ベスト5をご紹介しました。

彼の作品に少しでも興味を持ってくださる方がいらっしゃれば、幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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